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起きたら大量の冷や汗で寝間着がびしょ濡れだった。
寝汗の範囲を超えている。しかも今は冬だ。
悪夢をみた覚えがある。
想像的でオカルティックな夢なら起きてから楽しめるけど、あいにく現実的な夢ばかりでつらい。
そういえば、想像をしなくなっている。
世界観や物語、生活の営みなど、夢想するのが好きだった。
いまはひたすら現実に目を向けている。
ジムに通いだしたのはよかったと思う。
自分の肉体のことを、まったく知らなかったと気づいた。
こんな状態にならなければ興味も持たなかっただろう。
人間とは愚かなものだ。
人間は内臓と脳で動いていると思い込んでいた気がする。
腕を上げるのには、腕以外の筋肉も使っている。
体幹や姿勢、呼吸、体温、触覚。
大切なことだと知った。
ひとつの動作によって、身体のどこを使うのか。
そういうことを考えるきっかけになった。
肉体と脳は神経によってつながっている。
その神経は背骨の中を通っている。
身体を動かすと、神経が刺激を受ける。
末端を動かすこともそうだし、背を伸ばすことも神経を呼び覚ます行為だ。
当たり前に使うだけ使って、神経を労わることをしなかった。
運動しろ、日光に当たれ、とは言うけれど、それは神経を刺激しろという意味だったんだ。
無意識に肩に力が入ってしまう。奥歯を噛みしめてしまう。
そういうのが癖になって自分にこびりついている。
脱力すること。それを意識的にできるようにならなくては。