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電話した。泣くことなどなかった。

 

親族に明らかにUTSU履修済みと思われる医療従事者がいる。

精神病のプロだ。相談するのにうってつけの人物。

その人も私に頼られるとうれしいだろう。

 

まあ、その、なんだ。

数年前、そのひとは私の知らないところでうちの家族とバチバチに揉めた。

腹に一物なく会話できるのが、うちの中には私しかいないという始末。

正月に祖父母宅で顔を合わせたときも、みなの前では上面の会話しかしなかった。

私には目配せをしてきたので、何気なく台所に移動して二人で近況を報告しあったりした。

スパイ映画かよ。

 

たぶん、私だけがそのひとを排斥する気になれないのは、気持ちがわかってしまう部分もあると思う。

そのときは当事者として家にいなかったし。

なにより、子供時代に兄弟ともどもかわいがってもらった。

それは長子である私が一番覚えている。

あのひとを嫌えない。

 

で、電話の結果だけど、彼女はSO_UTSUではなかった。

ただのUTSUだという。親族にも、それらしき人物はいない、と。

むしろ遺伝という部分に異議を唱えて諭してきた。

 

「とにかく、自分で判断しないこと。規則正しい生活を送ること」

私の考えと合致している。問題ない。

 

処方されている薬名をすべて述べよという。

慣れないカタカナ名前をどもりながら読み上げた。

「その処方が心療内科ならまずい。精神科に転院しなさい」

 

心療内科の看板は内科医でも掲げられるらしい。

厚生労働省認可の精神病医師の資格?などと説明されたんだけど、あのひとの話はうちの母に似て説明が不合理でよく分からなかった。

 

とにかく、自分のかかっている医師の資格を調べよ、と。

資格なくば転院せよ、と。

 

「えー。わたし、あのデブメガネの医者を気に入ってるんだけどな」

ああいうタイプがいつ心を開いてくれるのか、デレてくれるのか、そういうのを楽しむ趣味が私にはある。

直観として、あの医師は信頼できる気がしていた。

そういう人を見る目には自信があるんだけど、認知が歪んでいるから押し通す気にはならない。

 

するとすかさず母がスマホ画面をかざしてきた。

デブメガネの経歴だ。保持資格の欄を読み上げる。

「うん、そこの病院でよし!」

お墨付きをいただいた。すげーなデブメガネ。

 

病院選びは母がしてくれた。

一番ひどいときの私には無理だった。

とにかく、以前かかって睡眠薬しかくれなかったワハハおっさん医師以外、という条件のみつけた。

偶然近所にそういう病院があってラッキーだった。

母もいちおう医療従事者だから、その辺もちゃんと考えていたのかもしれない。

 

淡々としたひとって好きだ。

こちら側に興味がないか、自分に自信があるか。両方か。

デブメガネが能面のように表情を動かさないのは、動かす必要がないからだ。

彼には知識があり経験があり、それで患者を治せるという自信がある。

 

私には自信がない。

時間という流れに無作為に流されている。

ちゃんと息継ぎができるように、流れに杭を打ち込んでいくような作業。

きれいに等間隔に並べて、流されても杭につかまって持ち直せるようになりたい。

 

もう少し早く起きたほうがいいらしいんだけど、12時ー9時が今のところ精一杯。

ベッドには12時までに入る。

その後すぐ寝付けないから薬を変えてもらった、と昨日言った。

しかしなんと「寝付けず苦しむ悪夢」をずっと見ていたので薬が効いたのか分からない。

気づいたら朝だったから、眠ってはいたらしい。

布団の感触まで生々しい夢だった。

いや、布団の中にいて布団の中にいる夢を見てたんだから当然か。

 

夢を見ることが増えた。

ぜんぶ悪夢だ。気になっている友人たちが立ち代わり入れ替わり登場している。

謝りたいし、会いたい。

もう少し相手に気まずい思いをさせなくてすむようになってから外に出ていく。

 

以前通りに振る舞えるか自信がないんだ。