ファッキン躁鬱

双極性障害者の明るく楽しいハッピーライフ!

SOU_UTSUですね、といわれた。

医者の言葉だから診断結果だろうか。

いまいちピンとこない。

 

病院に行くのは気が進まなかった。

そういう医者は、私がどこで生まれただとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、そういったデーヴィッド・カパーフィールド式のくだんないことを全部話さないと診断を下しちゃくんないと思ってたから。

 

でもその医者は、チャートの点数だけで私をSOU_UTSUだと断定してみせた。

私は抱えている不調を簡潔に述べるだけでよかった。

そういう病院じゃやけにニコニコした医者が「大変でしたね」「つらかったですね」なんて、生ぬるい言葉ばっかり話すのかと思ってた。

 

実際、以前数回通ったきりの別の病院じゃ、ワハハ式のおっさん医師が笑い飛ばしてくれた。

ノリのいい私はいっしょにワハハと笑い飛ばした。

そのあとは、睡眠薬を数日飲んだだけで諦めてしまった。失敗だ。

病院の予約もすっぽかしてそのまま。

 

その反省もふまえて、今回は別の病院に行った。

医者にもいろんなスタイルがあるって聞いてたし。

ワハハ式のおっさんが悪いわけではない。

むしろすっぽかした私が悪い。

 

新設の病院だった。

若い医者はデブでメガネ。ろくに表情筋も動かさずに話す。

この病院、すぐ潰れるんじゃないかな。

でも、私には良かったと思う。

 

なぜかよく分からないけど、同情されたくない。

優しくされたくない。気を引きたくない。

ほっといてほしい。私のことは忘れてほしい。

 

そういう気分のときは、淡々と事務的に処理してくれる方がありがたい。

カウンセリングがあるのかと思ったけど、薬を処方されただけでその日は終わった。

 

そしてこの薬がよく効いた。

消えたい、という強い観念から解放された。肩も軽い。

こんなすぐ楽になるなら、さっさと病院行けばよかった。

いや、薬なしでもやってけるようにならきゃいけないんだけど。

 

睡眠薬は初日には劇的だったけど、数日飲むと慣れてきたのかそれほどでもない。

でもとりあえず、毎日眠れている。

24時間という枠の中にいる。それだけで進歩。

 

脳みそも、ずいぶんクリアになった。

いつもの半分も動いてないような感じだったから。

あれはつらい。

 

食事を日に三度食べるのにはまだ慣れない。

いつからか空腹が苦痛じゃなくなっていた。

飢餓感を感じたら、そのときにたくさん食べる。

すると胃がもたれて、また飢餓感がくるまでほうっておく。

そういう生活が数年続いていた。

 

腹が減っていなくても、時間がきたら食べる生活。

そのためには、食べる量をセーブする必要がある。

つい朝食を食べ過ぎて、昼飯が入らない。

私の胃の容量は、自分が考えているより少ないんだろう。

 

外出して体を動かした方がいいというけれど、気が乗らない。

そもそも調子が悪くなったのは、この町に戻ってきてからだ。

ここには健全なものしかない。老後と子育ての町。

好きではない町で散歩する気にならない。

道端に吐かれたゲロまで愛おしかったあの古都に戻りたい。

 

何をして日中を耐えるかが問題だ。

夜にしか眠っちゃいけないんだから。

 

これまで愛していたライフワークに忌避感を覚えるようになってしまっている。

マンガ・アニメ・文学・ロックミュージック。

サブカルチャーSNS・旅・カラオケに飲み会。

映画も見れない。小難しいものばかり好きだった。

出かけたり、誰かと騒ぐのが好きだった。

 

いままでは全く興味のなかったヒップホップを聞いている。

ヒップホップトラックは同じ拍とメロディーを繰り返す。

そこにMCが歌詞を乗せる。

騒がしいダンスミュージックとしか思ってこなかったけど、その本質は心地よさだと気付いた。

 

自分が気持ちいいと感じるトラックに、気持ちいいと感じる声が乗っていればOK。

単純だ。そういうのがいい。だから人は踊るんだ。

 

abemaTVにはヒップホップチャンネルがある。

それを見ていたら、ほかのチャンネルも見るようになった。

 

最初はリアリティ番組のチャンネル。

セレブがしょうもないことで騒いでたり、男女が惚れた腫れたで大騒ぎしている。

自分から最も遠いカルチャー。戦争より遠い。

 

それにも飽きて、次はVICEチャンネル。

その段になって、日本語メディアを見るのがつらいのだと気付いた。

日本のバライティとかニュースとか怖気がする。

私は日本語に馴染んでいるから、言葉の裏側まで考えてしまう。

英語メディアなら、深く理解できないからかえって単純だ。

 

VICEの中の、マンチーズというシリーズが気に入った。

料理についてのシリーズだ。

その中には日本製と海外製の番組があって、海外製のがよかった。

それなら、海外動画サイトに直接アクセスして見ればいい。 

 

入れ墨バチバチの太ったシェフがピザだとか肉だとか料理してる。

字幕すらないから、内容はほとんど分からない。

肉を焼けば上手い。単純だ。

 

私の場合、日本の文化にずぶずぶだったから、それから目をそむけると自然矛先が海外に向いた。

逃避行だ。でも、その場にうずくまってるよりマシかも。

たぶん、いままでの人生の中で一番グローバル。